icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科29巻9号

2001年09月発行

文献概要

研究

橋出血に対する治療とその機能的予後—保存的療法と手術的療法の比較

著者: 原貴行1 永田和哉1 河本俊介1 指田純1 阿部正1 和田晃1 坂本哲也2

所属機関: 1公立昭和病院脳神経外科 2公立昭和病院救急医学科

ページ範囲:P.823 - P.829

文献購入ページに移動
I.はじめに
 高血圧性橋出血に対する手術的治療はいまだ論議の域を出ない.直達手術としては1932年のDandyの報告以来成功例がいくつか報告されているが,元来橋出血自体が他の脳内出血に比べ重篤であり,血腫がうまく除去できても多大な後遺症を残しうること,手術自体が侵襲の大きいものでまた橋という場所がら手術によって症状を悪化させる可能性のあることから,ほとんど行われていないのが実状である4,6,8,10,11,13)),しかし,こうした深部脳内出血に対する侵襲の少ない手術法としてわが国では1978年に駒井らがCT下定位血腫吸引術を施行し良好な成績をおさめており5),この定位血腫吸引術が現在橋出血に対する唯一の手術的な治療法といえるかもしれない.ただし,この手術の有用性つまり機能的な予後に関する報告例は少なく1,3,9),特に保存的療法と比較検討したものは数えるほどである5,14,15).今回われわれは1988年から1996年の8年間にわたり橋出血に対して手術した年度と保存的加療のみとした年度に分け,その機能的予後を発症後3カ月の段階で評価し,両群で比較検討したのでこれを報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?