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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科29巻9号

2001年09月発行

文献概要

症例

内頸動脈狭窄症に合併した“steal VBI”の2症例

著者: 七戸秀夫1 黒田敏1 宝金清博2 牛越聡1 岩崎喜信1

所属機関: 1北海道大学医学部脳神経外科 2北海道大学医学部放射線科

ページ範囲:P.871 - P.876

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I.はじめに
 内頸動脈起始部閉塞性疾患を有する症例では,椎骨脳底動脈領域に局在する症状が出現することがある.その多くは椎骨脳底動脈系の動脈硬化性閉塞性病変が原因として関与している3,4).しかし,その中には椎骨脳底動脈系に病変を合併しないにもかかわらず,椎骨脳底動脈循環不全(VBI)を呈する症例が存在することが,以前より散発的に報告されている1,5).その発現機序として,内頸動脈領域の脳灌流圧低下のため,後交通動脈を介して椎骨脳底動脈系から内頸動脈系にむけて,頭蓋内盗血現象が生じていると考えられており,“steal VBI”と呼ばれている1,5)しかし,近年はあまり報告もなく,本現象における脳循環動態も詳細に検討されたことがない.
 最近,われわれは,視野障害を合併する内頸動脈高度狭窄症に対して,内頸動脈stent留置術を施行したところ,術前に低下していた後大脳動脈領域の脳血流量が増加し,症状が改善した症例を2例経験したので,steal VBIのメカニズムとともに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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