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総説
急性硬膜下血腫の治療
著者: 牧野博安1 植村研一1 堀江武1 山浦晶1
所属機関: 1千葉大学脳神経外科
ページ範囲:P.7 - P.14
文献購入ページに移動外傷性急性硬膜下血腫のある患者の予後がきわめて悪いことはよく知られている事実である3,21,23,27,35,37,39,43).また本疾患に関しての治療法も確立されたものはないといって良い.予後の悪い理由としては,急性の外傷性硬膜下血腫が存在するときには,血腫そのものがその患者の運命を左右しているのではなく,そのほとんどの症例について血腫を起こした原因としての脳表面の裂傷および,脳損傷を伴っており,この脳損傷より続発する脳浮腫であるとか,この損傷に関連して急発した急性脳腫脹が原因となって死亡することが多いからである9,20,31,35,47).
新生児や乳幼児に好発する一部の急性硬膜下血腫は19),出血魂の除去・出血源の探知およびその止血によって完快するので例外的に取扱うべきである,現在迄,本疾患に関しての診断は,ことに本邦においては動脈写を急性頭部外傷患者に施行することが普及されているために,確実であり,その発見率は高い.
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