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追悼文
中田瑞穂先生のご逝去をいたむ
著者: 植木幸明1
所属機関: 1新潟大学脳研究所脳神経外科
ページ範囲:P.812 - P.813
文献購入ページに移動 中田瑞穂先生は,去る8月18日,82年の生涯を閉じられた.50年住みなれた西大畑の,晩秋さいかちの実がかさかさと音をたてて落ち,四季の草花の咲く古い借家の御自宅で,奥様の手厚い看護のもと,その稀にみる一生を終えられた.暑い日であった.胆石症と,それによる肝障害および膵炎が原因であったが,脳は22年前のWallenberg症侯群発症に一致して,左椎骨動脈に限局性のアテローム硬化がみられた以外,動脈硬化はなく,あたかも壮年の脳を思わせるものであった.
古語に「所謂師は鐘の如しと,大鳴り小鳴りはその撞く人の力に由るまでなり」という.またとない釣鐘にめぐまれながら,弟子の一人として果して力一杯撞いてきたかと思うと,とりかえしのつかぬことをしてしまったような気がして,悔まれてならない.
古語に「所謂師は鐘の如しと,大鳴り小鳴りはその撞く人の力に由るまでなり」という.またとない釣鐘にめぐまれながら,弟子の一人として果して力一杯撞いてきたかと思うと,とりかえしのつかぬことをしてしまったような気がして,悔まれてならない.
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