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総説
脳炎
著者: 岩田伊保子1 堀川楊1 椿忠雄1
所属機関: 1新潟大学脳研究所神経内科
ページ範囲:P.879 - P.887
文献購入ページに移動臨床的に"脳炎"と診断することは比較的容易でありかつ稀ではない.しかし特異な臨床像をとるもの以外は,ウイルス抗体価お.よびその他の検査を駆使しても,その病因を確認することはしばしば困難である.したがって従来,病変の主座あるいは病理学的特徴をとらえて分類することが多く,種々の脳炎の名称が生じたが,近年のウイルスおよび免疫学的進歩,なかでもSlow Virus Infectionの概念1,2,3,4,5)が導入されるにつれ,特にウイルス感染症の概念は変化してきている.現在ではSubacute sclerosing panencephalitis(SSPE)やProgressive multifocal leukoencephalopathy(PML)など長くウイルスが疑われながら病因の不明であった脳炎で,それぞれ麻疹ウイルス,Papovaウィルスの遷延感染であることが確立されている.今後も更に新しく病因が解明される脳炎のあることが期待される.本稿では新潟大学脳研神経内科で入院治療した脳炎の患者41名の症例を中心に,臨床の立場から脳炎について概説する.
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