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研究
実験的上矢状静脈洞閉塞の病態(第2報)—実験的上矢状静脈洞閉塞に合併する脳室拡大—組織形態学的検索を中心として
著者: 宮上光祐1 中村三郎1 森安信雄1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.947 - P.954
文献購入ページに移動正常の髄液吸収経路については,Key and Retzius7).Weed20,21),Davson5),Shabo and Maxwell16,17)らにより髄液がArachnoid villiから上矢状洞へ吸収されている事実が確認され.現在このArachnoid villiを介する経路が髄液吸収の主要経路と考えられている.さらに実験的に上矢状静脈洞を閉塞させた場合,髄液循環障害が発生することも明白な事実である11).
Symonds19)(1931,1937),Russell5)(1949),Bering and Salbi4)(1959)らによれば,正常の場合,静脈洞内圧は髄液圧より低いが,静脈血栓症の場合,静脈洞内圧の上昇とともにArachnoid villiからの髄液の吸収が障害され,脳室拡大が起るとしている.しかし,Beck and Russell3)(1946),Klosovsky8)(1968)らによる実験結果では,上矢状洞を閉塞してもHydrocephalusは発生しなかったと述べている.さらに,その後の臨床報告例を見ても脳室拡大のみられる症例とない場合があり,いまだ上矢状洞閉塞における病態は明らかにされていない.
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