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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科3巻2号

1975年02月発行

文献概要

総説

ウイルスと脳腫瘍

著者: 向井紀二1

所属機関: 1

ページ範囲:P.91 - P.112

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Ⅰ.はじめに
 すでに制限の紙面もつきているため,最後に簡単にヒトの脳腫瘍の研究からウイルスとの因果関係を暗示した2,3の重要な知見を要約し,結びの章に代えたい.Albert-Reid(1972-1974)は,reverse transcriptase(Temin,水谷,Baltimoreら)が,ヒトの胎生型神経腫瘍にかなりの高率で証明されることから,これらの特有な未分化型腫瘍とウイルスとの関係を強調した(Table 5).Hellströmら(1969,1970)は,TSTA交叉反応陽性のヒトの髄芽細胞腫の症例からウイルスが発癌の引き金となることを予測した.一方,C型粒子を化学物質(I,5-BUdR, Doerfler,1968)あるいは起合胞性ウイルスで誘発,直視下で証明すること.そのほかあらかじめ動物のoncorna virusで作った腫瘍から抽出した70S-RNAに対応する3H-DNAを合成しておき,これを用いてヒトの癌細胞遺伝子中に発癌ウイルスの核酸が組み込まれているかを核酸間の相補的結合によって証明する方法などが現在進捗中の研究方向である(Table6).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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