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研究
頭部外傷における過換気療法—Ⅰ.自発的過換気現象と補助呼吸
著者: 桂田菊嗣1 小川道雄1 南卓男1
所属機関: 1大阪大学特殊救急部
ページ範囲:P.131 - P.138
文献購入ページに移動最近,頭部外傷に対する過換気療法が一部の人たちによって推奨されている.本療法を支持する根拠としては脳血管床の減少による頭蓋内圧下降作用のみならず,inversed stealによる病巣部の脳血流増加5),呼吸性アルカローシスによる脳組織アシドーシスの補正4)などがあげられているようである.
しかし,われわれが実際に臨床例をよく観察していると,過換気療法を試みるまえに,いろいろな問題点や疑惑に当面する,どのような患者に,何を指標として,どの程度の換気を行なうべきかということがまだ解決されていない問題である.過換気によるアルカローシスの悪影響や脳血流減少も懸念される点である.人工陽圧呼吸による胸腔内圧や心循環系などへの影響も心配される.そしてまた,たとえ過換気の目標が定まったとしても,その目的達成のためには技術的に多大の困難を伴うのが常である.
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