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研究
脳膿瘍に関する研究(第2報)—被膜外全摘出術の適応と限界
著者: 篠原豊明1 小川信子1 加川瑞夫1 喜多村孝一1
所属機関: 1東京女子医科脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.163 - P.169
文献購入ページに移動脳膿瘍の外科的治療に関しては,古くから多くの議論がある.脳膿瘍の治療成績が抗生物質の導入前後で格段の差があることは,今や誰も疑う者はいない1,2,5,10,11,13,16,19,21).しかしながら,近年諸家の報告にみられるように,多種多様の抗生物質が存在するにもかかわらず,脳膿瘍の治療成績は30-40%という高い死亡率を示し,必ずしも満足すべきものではない4,6,9,19,26).この事実は,脳膿瘍の治療方法,特に手術方法および手術時期に,まだ多くの問題点があることを示唆しているものと考えられる.著者らは,脳膿瘍に関して一連の研究を行ってきたが,今回,当教室で行われた脳膿瘍の手術成績を検討し,治療方法いかんによってmortality, morbidityが大いに異なることを見い出した.そこで,脳膿瘍の外科的治療特に被膜外全摘出術の適応と限界について,自験例を中心に若干の知見を述べてみたい(Fig.1).
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