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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科3巻2号

1975年02月発行

文献概要

症例

硬膜下液貯溜治療中に現われた乳児外傷性前大脳動脈瘤—発生機序と文献的考察

著者: 丸林徹1 賀来素之1 吉田顕正1 松角康彦1

所属機関: 1熊本大学脳神経外科

ページ範囲:P.177 - P.183

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Ⅰ.はじめに
 頭蓋内動脈瘤発生の原因としては,1)先天性,2)mycotic, 3)動脈硬化性,4)解離性あるいは5)外傷性などがあげられている20,37).このうち外傷性脳動脈瘤として報告された症例には,硬膜内外の内頸動脈などの基幹動脈と4,38,39,41),脳内の小血管群7,21),さらには硬膜動脈28,47)などに発生したものなどがあるが,いずれもまれな報告であり,かつまた動脈瘤発生と外傷との因果関係について疑問視する意見も免れない.
 われわれは最近5カ月半の女児で,閉鎖性頭部外傷により起った硬膜下液貯溜に対する治療中,突然大量の脳室内出血をきたし手術的に出血源として外傷直後の血管撮影には認められなかった動脈瘤によるものであることが判明した症例を経験した.これは従来外傷性動脈瘤として報告されている症例の基準と合致するものであり,動脈瘤に対する根治手術前の再三にわたる血管造影により経過を観察する機会を得,手術により治癒せしめえた.外傷性動脈瘤の発生機序さらにはこれと外傷性晩発性脳卒中5,11,26)との関係について,文献的考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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