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研究
グリオブラストーマに対する放射線治療の効果—516例をもとにして
著者: 山下純宏1
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2エジンバラ大学脳神経外科
ページ範囲:P.329 - P.336
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
グリオブラストーマは頭蓋内腫瘍の中で最も頻度の高いものの一つであるが,その治療の現状は決して満足すべきものではない.いかに広汎に別出を試みても,腫瘍は必ず再発して来る.放射線治療にも限界があり1),これによって永久治癒を望むことは到底不可能である,化学療法,その他の治療法に関しては,客観的評価を下すには,未だデータ不足の状態である.グリオブラストーマは本当に治療する価値があるのかと疑問を投げかける人もいる位であるが14),たとえ永久治癒が望めなくても,一時的症状改善ならびに延命効果が,患者とその家族にとってusefulであるならば,その治療行為は決して無意味ではないと考えるのが,大方の意見であろう5,6,9,10,14)
本論文の目的は,一つのセンターで長期間にわたって比較的一定した治療方針のもとに治療された比較的多数のグリオブラストーマ症例群について,retrospectiveに放射線治療の効果の程度を明らかにすることである.
グリオブラストーマは頭蓋内腫瘍の中で最も頻度の高いものの一つであるが,その治療の現状は決して満足すべきものではない.いかに広汎に別出を試みても,腫瘍は必ず再発して来る.放射線治療にも限界があり1),これによって永久治癒を望むことは到底不可能である,化学療法,その他の治療法に関しては,客観的評価を下すには,未だデータ不足の状態である.グリオブラストーマは本当に治療する価値があるのかと疑問を投げかける人もいる位であるが14),たとえ永久治癒が望めなくても,一時的症状改善ならびに延命効果が,患者とその家族にとってusefulであるならば,その治療行為は決して無意味ではないと考えるのが,大方の意見であろう5,6,9,10,14)
本論文の目的は,一つのセンターで長期間にわたって比較的一定した治療方針のもとに治療された比較的多数のグリオブラストーマ症例群について,retrospectiveに放射線治療の効果の程度を明らかにすることである.
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