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手術手技
脊髄血管腫の手術
著者: 斉藤勇1
所属機関: 1東京大学脳神経外科
ページ範囲:P.375 - P.380
文献購入ページに移動 脊髄血管腫は,病変よりの出血,圧迫あるいは,血流のsteal現象による正常脊髄の虚血などにより,突発性あるいは進行性に脊髄の横断症候を呈するに至る疾患である.
このような疾患に対する治療の日的は,進行性に,あるいは発作を繰り返すうちに,脊髄の横断状態に陥ることを防止することである.一度び悪化した神経症候を回復させることは,中枢神経系の血管障害の性質上,困難なことが多く,治療の主要な目的とはならない.この意味から,Svienら19)は,手術治療の適応を,1)進行性の症候を呈する例,2)intractable painを訴える例,3)髄内血腫が存在する例などに限定している.病変よりの出血で,血腫を作らなくも重篤な症候を呈するものであり,その症候が軽度であれば,再出血防止の意味で,治療の適応になろう.Pia14)は,本症による神経症候の程度を3段階に分け,Ⅰ:初期(一過性の症候を呈する時期),Ⅱ:中期(痙性麻痺と感覚低下を呈する時期),Ⅲ:末期(弛緩性麻痺と脊髄の完全横断症候を呈する時期)に分けているが,著者らの経験でも,症候がこの末期の状態で固定してしまった症例では,治療効果がないと考えられる.
このような疾患に対する治療の日的は,進行性に,あるいは発作を繰り返すうちに,脊髄の横断状態に陥ることを防止することである.一度び悪化した神経症候を回復させることは,中枢神経系の血管障害の性質上,困難なことが多く,治療の主要な目的とはならない.この意味から,Svienら19)は,手術治療の適応を,1)進行性の症候を呈する例,2)intractable painを訴える例,3)髄内血腫が存在する例などに限定している.病変よりの出血で,血腫を作らなくも重篤な症候を呈するものであり,その症候が軽度であれば,再出血防止の意味で,治療の適応になろう.Pia14)は,本症による神経症候の程度を3段階に分け,Ⅰ:初期(一過性の症候を呈する時期),Ⅱ:中期(痙性麻痺と感覚低下を呈する時期),Ⅲ:末期(弛緩性麻痺と脊髄の完全横断症候を呈する時期)に分けているが,著者らの経験でも,症候がこの末期の状態で固定してしまった症例では,治療効果がないと考えられる.
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