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総説
脳死
著者: 竹内一夫1
所属機関: 1杏林大学脳神経外科
ページ範囲:P.451 - P.458
文献購入ページに移動はじめに
腫瘍・炎症・外傷・血管性障害・先天性奇形などによる脳の急性一次性粗大病変は,脳神経外科領域における主要な治療対象である.したがってわれわれ脳神経外科医は古くからこれら疾患の末期(死戦期)に,いわゆる「脳死」41,42,50,57,77,82)の状態があることを経験していた.一方,心疾患・窒息・薬物中毒・麻酔事故などによる一過性の心拍・呼吸停止乃至脳無酸素症にも同じような状態がみられるようになった2,33).ことに蘇生術の進歩により,これら症例の頻度はむしろ増加の傾向にある.
たまたま1967年末,Bernardにより最初の心臓移植が行われ,脳死への関心が急速にたかまり,一時はかなりの混乱もあったが,今日ではほぼ一段落した.そして最近では脳死状態の判定方法の確立,脳死前の状態における治療などに関する研究が盛になってきた.
腫瘍・炎症・外傷・血管性障害・先天性奇形などによる脳の急性一次性粗大病変は,脳神経外科領域における主要な治療対象である.したがってわれわれ脳神経外科医は古くからこれら疾患の末期(死戦期)に,いわゆる「脳死」41,42,50,57,77,82)の状態があることを経験していた.一方,心疾患・窒息・薬物中毒・麻酔事故などによる一過性の心拍・呼吸停止乃至脳無酸素症にも同じような状態がみられるようになった2,33).ことに蘇生術の進歩により,これら症例の頻度はむしろ増加の傾向にある.
たまたま1967年末,Bernardにより最初の心臓移植が行われ,脳死への関心が急速にたかまり,一時はかなりの混乱もあったが,今日ではほぼ一段落した.そして最近では脳死状態の判定方法の確立,脳死前の状態における治療などに関する研究が盛になってきた.
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