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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科3巻8号

1975年08月発行

文献概要

総説

大孔部骨奇形の臨床(Ⅱ)

著者: 朝長正道1

所属機関: 1福岡大学脳神経外科

ページ範囲:P.621 - P.630

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Ⅳ.臨床症状
 大孔部骨奇形をもつすべての人がこの奇形に基因する愁訴を有するわけではない.Klaus36)は170例中119例,70%が有症状,McRae42)は62%が有症状であったと報告している.他方,Moreton44)は有症状率20%と低い値を発表している.九州大学および福岡大学脳神経外科の入院患者中に,42例の本奇形を発見し,そのうち35例が本奇形に基因する神経症状を有しており,83%であった.これは入院患者のみを対象としており,他の報告もその抽出母体に問題があるので,より正確な有症状率は今後の検討にまたねばならない.外来患者の中に無症状の本奇形が発見されることもあり,有症状率はおそらく50%前後であろうかと考えている.そして無症状のものは骨奇形の程度も軽いようである.de Barros4)は本奇形の発生頻度に人種差があるとのべている.
 有症状患者の性比は,どの報告も男性に多い.本報告例も19:16で男性に多い.年齢は20-60歳台に多く,30,40歳台にピークがある.20歳以下,とくに10歳以下には少ないことは,すべての報告が一致している.このことは本疾患が先天奇形であることからすれば一見不思議である.その原因として,中枢神経系の発育と奇形化した骨の発育のアンバランス,骨奇形の進行,荷重の増加による異常発育の促進,中枢神経系への軽微な外傷のくりかえし,長期間の循環不全,さらに加齢による骨やその支持組織,血管系,神経系の変化などがあげられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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