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研究
末梢型外傷性脳動脈瘤の増悪型と自然治癒型—とくにそれらの特徴と診断,治療上の問題
著者: 坪川孝志1 小谷昭夫1 菅原武仁1 森安信雄1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.663 - P.672
文献購入ページに移動外傷性脳動脈瘤は内頸動脈および外頸動脈領域に発生するものが多く(Birley 1928),脳動脈末梢型の外傷性動脈瘤はKarlandis (1949)の前大脳動脈末梢型の報告以来,Hirnrindenaneurysma(Eichlerら1969),cerebral cortical aneurysm(Overtonら1969,Rulnbaughら1970)といわれ,比較的稀で,遠藤らは(1974)自験1例と,文献的に31例を報告している.
その発生頻度は頭蓋内動脈瘤症例のうち,0.5%以下が外傷に山来するものとされ(Benoitら1973),Ferryら,(1972)の穿通性戦傷例でさえも,末梢型の外傷性脳動脈瘤は0.09%に発生するにすぎないと報告されている.ところが末梢型外傷性動脈瘤では,外傷後の臨床症状の改善と関係なく,動脈瘤が増大し,血腫を伴う破裂を招来したり(Cressmanら1966),Bollinger(1891)のいうlate apoplexyの原因となる増悪型と,一方では動脈瘤の内容が完全に器質化して治癒する自然治癒型(Brenner 1962,Rumbaughら1970)が存在するのである.Burton(1968)が本症の死亡率が58%と高率であることが示されていても,この両型間には大差があるので,今日最も望まれるのはこの両型間の鑑別と治療方針の決定の根拠を明確にすることである.
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