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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科3巻9号

1975年09月発行

文献概要

症例

絨毛上皮腫脳転移による脳動脈瘤形成とくも膜下出血

著者: 中原荘1 野中信仁1 木下和夫1 松角康彦1

所属機関: 1熊本大学脳神経外科

ページ範囲:P.777 - P.782

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Ⅰ.はじめに
 転移性脳腫瘍の中で,比較的東洋人に多く,若年の婦人に発生する絨毛上皮腫(以下絨腫と略)は特異的な血管親和性を有し,流動血に直接触れた環境の中で増殖するために,早期から広汎な転移を招く.約80-90%が転移するとみられるが,大半が血行性に骨盤外遠隔転移を形成し,脳転移頻度は肺についで高く,約20-25%に達すると考えられる2,21).悪性腫瘍の脳転移としては,肺癌,黒色腫とならび,高い脳転移率を示す絨腫の脳転移に関し,詳細な神経学的検討を加えた報告は数少なく,本邦では,成田13),藤原6),臼井20),深町5)らの例をみるのである.
 絨腫の脳転移による臨床像には,クモ膜下出血をはじめとする頭蓋内出血の急性症状で発現するものがあり,剖検で多くの症例に脳内血腫を認める点,他の転移性脳腫瘍に比べて特徴的といえる.脳血管撮影により,転移腫瘍細胞の血管侵蝕によると考えられる脳動脈瘤様変化や脳血管壁の不規則な変化をみた報告もみられる11,18)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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