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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻1号

2002年01月発行

文献概要

総説

脳神経外科領域における術中MRIの現状

著者: 椎野顯彦1 松田昌之1

所属機関: 1滋賀医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.23 - P.40

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Ⅰ.はじめに
 脳のように機能局在があり再生が困難な組織では,病巣へのアプローチやその摘出に伴う侵襲を最小限にする必要がある.特に脳深部に位置する病巣や肉眼では境界が判別しにくい病巣,脳表付近であってもeloquent areaに隣接する病巣の場合には正確なナビゲーションが必要となる.術前に得られた脳の3次元情報をもとに行う従来のナビゲーションシステムでは,髄液の排液や占拠性病変の摘出による脳の変形に伴う位置ズレ(brain shift)に対処できないという欠点があり,適応可能な症例に限界があった.これに対し手術中にMRIを行う術中MRIは,brain shiftの問題を気にしなくてもよく,生検針やカテーテルの先端の位置を術中に確認したり,病巣の摘出状況を把握することが可能であり,optical trackingと組み合わせることにより従来よりも進んだナビゲーションが可能である.
 MRIの利点は,繰り返し検査してもCTのように放射線被曝を考慮しなくてすむことと,組織のコントラストが良いことである.良性の神経膠腫のように肉眼や手術操作時の感触でも境界がわかりにくい病巣であっても,MRIでモニターすれば取り残す危険性は確実に低下する.MRIの空間分解能は少なくとも1〜2mmであり,3D vol-ume imaging後のリスライスは問題とならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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