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研究
脳神経外科手術におけるSBT/ABPCの術後感染予防効果に関する検討
著者: 伊泊広二1 酒井圭一1 高澤尚能1 宮入洋祐1 八子武裕1 村田貴弘1 坂本道雄1 新田純平1 本郷一博1 小林茂昭1 青木俊樹2 小林聰2
所属機関: 1信州大学医学部脳神経外科 2健成会小林脳神経外科病院
ページ範囲:P.1075 - P.1080
文献購入ページに移動脳神経外科領域では,術後感染予防のために,皮膚常在菌であるブドウ球菌を想定した予防的抗菌薬の投与が一般的に行われている.ブドウ球菌の多くがペニシリナーゼを産生するため,予防的抗菌薬は主として第一または第二世代セフェム系抗生剤が使用されることが多い.脳神経外科手術症例の感染防止に対して,以前よりセフェム系薬剤やバンコマイシンを用いたcase-control studyによる抗生物質予防的投与の有効性が報告されている3,8,10,13,19).一方,本邦の多くの病院では院内で分離されるメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)が増加し,MRSAによる術後感染症が増えている現状において12),術後感染対策としてMRSAを考慮した抗菌剤の予防的投与が必要と考えられる.
スルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC)は,ペニシリナーゼを強く阻害するβラクタマーゼ阻害剤を配合しており,ブドウ球菌に対する抗菌力は強く,また,高度耐性化MRSAを誘導しにくいと報告されている11).今回,脳神経外科領域術後感染予防薬の可能性としてSBT/ABPCを使用し,感染予防効果およびその副作用について検討したので報告する.
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