icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻11号

2002年11月発行

文献概要

総説

錐体斜台部髄膜腫

著者: 大畑建治1 原充弘1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科脳神経外科

ページ範囲:P.1159 - P.1171

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに
 後頭蓋窩髄膜腫は頭蓋内髄膜腫の10%を占め,その中の5〜38%が錐体斜台部髄膜腫である15).外科切除がもっとも困難な髄膜腫の1つであり,過去半世紀にわたってその治療方法が論議されてきた.
 錐体斜台部に発生する髄膜腫の特長は,天幕,メッケル腔,中頭蓋窩,海綿静脈洞,大後頭孔,ついには頭蓋外にまで進展することである22).第Ⅴ—ⅩⅠ脳神経の内側で,しばしば脳底動脈とその穿通枝さらに頸動脈やWillis動脈輪を巻き込みながら,また脳幹部を圧迫しながら発育する.頭蓋底深部での重要な神経血管系を巻き込んだ解剖学的局在と,さらに発見時にはすでに大きくなっている例が多く,1950年代まではほとんど手術不可能と考えられていた6,7).1970年までにわずかに26例の手術例が報告されているが,そのmor-talityは16例(61%)であり,全摘できたのはわずかに1例のみであった5,7,9,29,41,56)マイクロサージェリーでの外科切除は1977年のHakubaの全摘出6例の報告に始まり,1980年にYasagil,1986年にMaybergの報告が続いた15,29,56).以後,頭蓋底外科と微小外科手術手技の進歩とともに,さまざまな手術方法が報告され,1990年代では腫瘍の全摘出率は70%台へと向上しmortalityも0%近くになってきている1,23,30,41,45)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?