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研究
脳腫瘍術中皮質マッピングにおけるBIS(Bispectral Index)モニタリングの有用性
著者: 山口文雄18 大井良之2 青木亘3 中村利枝3 五十嵐亜希3 久保田稔4 澤田恵子5 志村俊郎5 高橋弘6 小林士郎7 寺本明1
所属機関: 1日本医科大学付属病院脳神経外科 2日本医科大学付属病院麻酔科 3日本医科大学付属病院生理機能センター 4日本医科大学付属多摩永山病院脳生理機能センター 5日本医科大学付属多摩永山病院脳神経外科 6日本医科大学付属第2病院脳神経外科 7日本医科大学付属千葉北総病院脳神経外科 8日本医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1181 - P.1188
文献購入ページに移動大脳1次運動野近傍腫瘍摘出時の運動野皮質マッピングは近年一般的に行われるようになってきた.われわれの施設でも1999年より皮質電気刺激による誘発筋電図記録を行っている.安定した記録を得るために,筋弛緩をまねく薬剤の使用を避けることや患者体温を35.5℃以上に保つことなどを行ってきたが,症例によっては誘発筋電図が得られないことがあり,さらにその原因を検討してきた.術中に投与する麻酔薬は一般的に大脳皮質錐体細胞や軸索,さらに脊髄前角細胞の刺激閾値を上昇させるため31),運動誘発電位に悪影響を与える可能性がある.
そこで今回,マッピングに影響する因子として麻酔深度に着目した.麻酔深度を測定する方法としてBIS(Bispectral Index)21)が麻酔科領域で普及してきており,心臓手術における患者の意識レベルをモニター24)したり,一般麻酔時でも麻酔薬の投与量の指標に有効とされている11,15,25).BISは脳波の多因子情報を1つの数値に変換し麻酔深度を表現する方法で,100が全覚醒,0が脳の電気的活動がない状態となる.一般的にBISが70以下であれば麻酔中の記憶がなく,60以下であれば意識がない状態であると言われている7,15,16).
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