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研究
もやもや病における後大脳動脈狭窄性病変の臨床的意義
著者: 黒田敏1 石川達哉1 宝金清博2 岩﨑喜信1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科脳神経外科 2札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1295 - P.1300
文献購入ページに移動もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は両側内頸動脈終末部に進行性の狭窄が生じるために大脳基底核などに拡張した血管陰影が側副血行路として出現する特異な疾患である2,11).また,本疾患では,後大脳動脈(posterior cerebral artery;PCA)も内頸動脈系への重要な側副血行路として機能している6-8,10,12,13).そのルートは,1)pial anastomo-sisを介する側頭葉,頭頂葉へのルート,2)後傍脳梁動脈(posterior pericallosal artery)を介する前大脳動脈へのルート,3)拡張した視床穿通動脈(thalamo-perforating artery)や後脈絡動脈(pos-terior choroidal artery)によるposterior moyamoya vesselsを介するルートに大きく分類することができる.しかし,もやもや病の病期が進行すると,PCAの近位部にも狭窄性病変が出現してくることが以前より知られており,これが脳循環全体に及ぼす影響はきわめて大きいと考えられる.
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