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症例
下垂体卒中が疑われた破裂前大脳動脈瘤とラトケ嚢胞の1合併例
著者: 坂本繁幸12 井川房夫1 川本仁志1 大林直彦1 迫田英一郎1 日高敏和1 鮄川哲二1
所属機関: 1島根県立中央病院脳神経外科 2マツダ病院脳神経外科
ページ範囲:P.199 - P.203
文献購入ページに移動突然の激しい頭痛とくも膜下出血で発症する疾患として,破裂脳動脈瘤と下垂体卒中がある.軽症例では両者の緊急性は対照的であるが,鑑別が困難な場合もある.下垂体卒中の頻度は全下垂体腺腫の0.6〜17%1)で,そのうち,くも膜下出血の頻度は5%とされる1),一方,ラトケ嚢胞の多くは無症候性であり,剖検で発見される頻度は11〜33%とされる5,15),ラトケ嚢胞に脳動脈瘤を合併した症例の報告は極めて少なく,特に破裂脳動脈瘤を合併した報告は1例にすぎない14).今回われわれは,発症当初は下垂体卒中が疑われたが,緊急magnetic resonance imaging(以下MRI)にて破裂前大脳動脈瘤とラトケ嚢胞の合併と診断した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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