icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻2号

2002年02月発行

文献概要

読者からの手紙

「橋出血に対する治療とその機能的予後—保存的療法と手術的療法の比較—」1)の論文について

著者: 高野尚治1

所属機関: 1西部総合病院脳神経外科

ページ範囲:P.223 - P.223

文献購入ページに移動
 2001年9月号に掲載された研究論文1)について,橋出血症例を単一施設の通年でまとめ,定位的血腫除去術施行群と不施行群で,意識レベルと麻痺の改善度を比較していますが,疑問点が浮かびましたので質問します.まず橋出血が高血圧性脳出血のなかでは少ないために,論文内で比較している症例の各母集団が有意差の検討をするには小さいと思います.また有意差検定をしておいて,「有意ではないものの……の傾向が認められた」との記載は適当ではないと考えます.有意差があるかないかを検定しているのであるから,「有意差を認めなかった」とすべきです.著者の記載方法では有意差検定をした意味がありません.ネガティブデータもりっぱな報告です.
 次に,検討症例を「発症後2週間以上生存した症例について行う」ことで,ここで予後の悪い大型の血腫例は除くというバイアスをかけていることになり,意識レベル,麻痺レベルの改善度の比較は入院時とではなく,術直前と術後を比較すべきです.入院後は高張減圧剤などの内科的治療を両群に行っているわけで,内科的治療継続群と発症後2週間ほどで手術を行った手術施行群の比較では,純粋に手術が寄与した改善度はさらに低くなる可能性が十分考えられます.この点の検討結果はどうなったでしょうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?