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集中連載 21世紀の脳神経外科
神経外傷領域の現状と展望
著者: 阿部俊昭1 沢内聡1 村上成之1 奥野憲司1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.247 - P.251
文献購入ページに移動神経外傷の研究は,脳神経外科学のあらゆる分野の中でも最も古い歴史をもつとされる.神経外傷の治療は,脳神経外科手術の原点ともいうべき,血腫を除去することから始まった.その後,画像診断の進歩に伴って,頭部外傷の原因として血腫のみではなく,びまん性軸索損傷,びまん性脳損傷と呼称される非出血性病変の存在が明らかになった1,4).びまん性脳損傷と血腫が共存した病態をより理解しやすいように作成されたのが,1991年にMarshallらの報告したTraumatic ComaData BankによるCT分類である16).さらには,脳実質損傷および血腫など一次性損傷としての病態を,低酸素,低血圧など二次性損傷が修飾していることがChesnutらにより報告され,頭部外傷の病態生理はより複雑なものとなっている3).
病態生理21世紀の神経外傷研究の主軸は,1)神経損傷のメカニズムと病態の解明,2)急性期の神経保護療法の確立,そして3)損傷された神経組織の再構築,修復の3つであると考える.
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