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神経内視鏡手術の現況と展望
著者: 上川秀士1 瀧本洋司2
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 2大阪脳神経外科病院脳神経外科
ページ範囲:P.253 - P.272
文献購入ページに移動20世紀初頭に始まった神経内視鏡手術3)(Fig.1)は1990年代に優れた脳室ファイバースコープが相次いで開発されるとともに15,40),広く注目されるようになった.低侵襲医療の概念はギリシャ・ローマ時代からすでにあったとされる.約2000年前の紀元79年のベスビオ火山の大噴火の際に,火山灰に埋もれた古代ローマの都市ポンペイの遺跡から肛門鏡・子宮鏡の原型と思われるものが発見されたのである.したがって内視鏡は約2000年もの歴史があることになる.
21世紀に入った現在,内視鏡手術は内科,外科,整形外科,耳鼻咽喉科などの領域のみならず脳神経外科領域においてもに一般化しており,広く行われ始めてきた.1994年に発足した日本神経内視鏡研究会もこれまで8回を数え,本年より「学会」に昇格した(Table 1).これまで保険点数としては認められず,まだまだこの分野はマニアックな世界と思われている向きもあったが,本年の診療報酬改正に伴いようやく認められることになった.この時期に神経内視鏡手術の現況を整理し展望を述べることは時宜を得たことと思われる.
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