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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻3号

2002年03月発行

文献概要

研究

小脳橋角部腫瘍摘出における聴力の術中モニタリング—ABRとCNAPの比較検討

著者: 山上岩男1 牛久保修1 内野福生1 小林英一1 佐伯直勝1 山浦晶1 岡信男2

所属機関: 1千葉大学医学部脳神経外科 2自動車事故対策センター附属千葉療護センター

ページ範囲:P.275 - P.282

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Ⅰ.はじめに
 診断機器・手術手技の進歩により聴力を温存した小脳橋角部腫瘍の摘出が可能となっている.聴力の術中モニタリングは聴力温存率の向上に有用と考えられるが,術中モニタリングと聴力温存率の有意な関係は認めないとの報告もある9).聴力の術中モニタリングに用いる聴覚誘発反応には,ABR:auditory brainstem response,ECoG:electro-cochleography,CNAP:cochlear nerve compoundaction potentialがある.
 ABRは最も普及した術中モニタリングであるが,頭皮上電極から得られるfar-field potentialで電位が1μV以下と小さく,加算解析が必要であり,real-timeとなり得ないという欠点がある2).ECoGでは,電極を鼓膜穿刺し中耳内壁の岬角promontoryに留置することにより,蝸牛の電気活動をABRに比べsignal/noise(S/N)の良好な電位として,ほぼreal-timeに記録できる10,15,17,20,22).CNAPでは蝸牛神経上を伝導する誘発電位を,蝸牛神経上に置いた電極からほぼreal-timeに記録できる.CNAPは1980年代に聴力の術中モニタリングとして報告されたが12,23),その後あまり普及しなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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