文献詳細
文献概要
研究
Pterional approachによる前交通動脈瘤手術の開頭側選択基準
著者: 岡本新一郎1 伊藤昌広1
所属機関: 1大阪赤十字病院脳神経外科
ページ範囲:P.285 - P.291
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
脳動脈瘤の直達手術では,安全かっ確実な頸部クリッピングが最大の目標で,そのためには,親動脈の確保,動脈瘤頸部の確認と,穿通枝の確実な温存が必須である.前交通動脈瘤の場合,頭蓋内の深部で術野が狭く,しかも関係する動脈が多いため,その達成が困難なこともある.手術法としてはpterional approachが最も一般的である8)が,正中に存在する前交通動脈瘤に対して左右どちら側を開頭するかについては,様々な意見がある.これまで開頭側を決める際に考慮すべき条件として,動脈瘤の向き1,5),左右の前大脳動脈A2部の前後関係2,3),A1部の血管径の左右差2,6),優位半球の側8),術者の利き手8)などが挙げられている.複数の条件の下で選択すべき側が互いに異なる場合,どの条件を優先すべきかという点については必ずしも一致しているとは言えず,また,それぞれの選択基準で実際にどの程度安全かっ確実なクリッピングが達成されているかを評価したものは少ない.評価が明確でない一因として,多くの報告では「安全性・確実性」や手術の「困難さ」の定義が曖昧であるためと思われる.
脳動脈瘤の直達手術では,安全かっ確実な頸部クリッピングが最大の目標で,そのためには,親動脈の確保,動脈瘤頸部の確認と,穿通枝の確実な温存が必須である.前交通動脈瘤の場合,頭蓋内の深部で術野が狭く,しかも関係する動脈が多いため,その達成が困難なこともある.手術法としてはpterional approachが最も一般的である8)が,正中に存在する前交通動脈瘤に対して左右どちら側を開頭するかについては,様々な意見がある.これまで開頭側を決める際に考慮すべき条件として,動脈瘤の向き1,5),左右の前大脳動脈A2部の前後関係2,3),A1部の血管径の左右差2,6),優位半球の側8),術者の利き手8)などが挙げられている.複数の条件の下で選択すべき側が互いに異なる場合,どの条件を優先すべきかという点については必ずしも一致しているとは言えず,また,それぞれの選択基準で実際にどの程度安全かっ確実なクリッピングが達成されているかを評価したものは少ない.評価が明確でない一因として,多くの報告では「安全性・確実性」や手術の「困難さ」の定義が曖昧であるためと思われる.
掲載誌情報