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症例
頸部内頸動脈の線維筋性形成異常症に対する経皮的血管形成術の1例
著者: 滝上真良12 馬場雄大1 齋藤孝次1
所属機関: 1釧路脳神経外科病院 2市立札幌病院脳死系外科
ページ範囲:P.301 - P.306
文献購入ページに移動線維筋性形成異常症(fibromuscular dysplasia;FMD)は,非動脈硬化性,非炎症性のsegmental angiopathyで,Mettingerの分析によると腎動脈に63%と最も多く発生し,次いで頭蓋外内頸・椎骨動脈が35%を占め,内頸動脈は椎骨動脈の約5.5倍の割合となっている14).FMDに起因する腎動脈狭窄は,若年者の腎血管性高血圧症の主因としてよく知られ,経皮的血管形成術(PTA)が治療法の第一選択として既に確立されているが25,26),一方,内頸動脈のFMDに関しては,中年女性に圧倒的に多く発生するbrain attackの原因疾患として近年関心が寄せられてきているものの,PTAによる治療の報告は極めて少なく,渉猟し得た中で詳細な記載があるものは現在まで意外にも12例を数えるに過ぎず1,2,5-7,11,16,27),本邦では1例もみられない.
今回われわれは,minor strokeで発症した頸部内頸動脈のFMDに対してPTAを施行し良好な結果が得られ,また,興味ある所見も認められたので文献的考察を加え報告する.
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