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読者からの手紙
外傷性単独脳幹部くも膜下出血とは?
著者: 中村紀夫1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.333 - P.333
文献購入ページに移動 貴誌29巻8号735ページに掲載されました宮本伸哉ら:「外因性か内因性か鑑別に苦慮した小児くも膜下出血の1例」2)の論文は,従来私の心の中にあった疑問点の1つに,あらためて強烈な光明を当ててくれました.外傷によって脳幹部に出血・挫傷を発生した場合,その発生メカニズムはGurdjian一派の頭蓋内圧変動の脳幹集中説,Grossのresonance cavitation説,Ommayaのshear strain説,清水・中村のneurovascular friction説などで説明されてきました.しかし,それらはいずれもCTなどの画像がなかった時代に,重症脳外傷において観察される脳挫傷などに合併した脳幹の病理所見を説明したものです.
CTスキャンが頭部外傷に頻繁に使用されるようになって,dynamic mechanismの条件上軽い頭部衝撃であるのにかかわらず,脳幹,殊にテント切痕周辺くも膜下腔に,少量ないし中等量の出血がまれならず見られることがあるようになりました.患者の病態は重症ではなく,眼球運動障害程度を残して早晩退院します.神経外傷臨床の著書・論文の中で,この出血とその発生メカニズムについて検討した原著を読んだことがなかったので,私自身次のように考えていました.
CTスキャンが頭部外傷に頻繁に使用されるようになって,dynamic mechanismの条件上軽い頭部衝撃であるのにかかわらず,脳幹,殊にテント切痕周辺くも膜下腔に,少量ないし中等量の出血がまれならず見られることがあるようになりました.患者の病態は重症ではなく,眼球運動障害程度を残して早晩退院します.神経外傷臨床の著書・論文の中で,この出血とその発生メカニズムについて検討した原著を読んだことがなかったので,私自身次のように考えていました.
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