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研究
誘発脳磁界による運動感覚野の術前機能マッピング
著者: 大石誠12 亀山茂樹1 渡部正俊2 川口正2 師田信人1 富川勝1 増田浩1 高橋英明2 田中隆一2
所属機関: 1国立療養所西新潟中央病院脳神経外科 2新潟大学脳研究所脳神経外科
ページ範囲:P.391 - P.397
文献購入ページに移動脳磁図(magnetoencephalography:MEG)では,神経細胞の電気的活動により生じる微弱磁界を超伝導のセンサー(超伝導量子干渉素子:SQUID)で捉え,その信号源を等価電流双極子として求めることで,体性感覚,聴覚,視覚などの各機能野を同定することができる.特に正中神経刺激による体性感覚誘発磁界(somatosensory evoked mag-netic field:SEF)は安定した測定が可能で精度も高く,術前の非侵襲的な感覚野および中心溝の同定法として早くから臨床応用がなされてきた1,5,8,12,14,15).一方で様々な技術の進歩により,大脳腫瘍性病変に対するアプローチも従来に比べさらに機能野との境界へと進んできた.したがって術前機能マッピングも中心溝の同定だけでなく,大脳一次運動野,特に手指の運動野と病変部の正確な評価を必要とする機会が増えてきた9,10).
今回われわれは運動感覚野近傍の脳腫瘍症例に対しMEGを用いて,従来のSEFによる感覚野および中心溝の同定と合わせ,手指の自発運動での運動関連誘発磁界(movement-related cerebral magnetic field:MRCF)による一次運動野の同定を試み,術前機能マッピング法としての有用性につき検討したので報告する.
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