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総説
直線加速器を用いた定位放射線照射
著者: 白土博樹13 青山英史1 飛騨一利2 澤村豊2 宮坂和男1 岩崎喜信2
所属機関: 1北海道大学医学部放射線科 2北海道大学医学部脳神経外科 3北海道大学医学部附属病院放射線部
ページ範囲:P.579 - P.591
文献購入ページに移動直線加速器を用いた定位放射線照射法は,1990年代に急速に進歩を遂げ,今もまだ発展し続けている.その発展を記すために,この総説ではすべて直線加速器を用いた文献を参考文献として豊富に引用したので,拙文に飽き足らない諸兄には参考文献を堪能して頂きたい.
定位装置と直線加速器の組み合わせの論文はPubMed上では18年前のBettiら11)が最古で,Co-lomboら18)がこれに続いている.ガンマナイフとの線量分布の違いは,標的体積内の線量均一性(homogeneity)は直線加速器が優れ,標的体積の外形状への等線量局面の合致性(confomality)はガンマナイフのほうが容易に達成できる.ガンマナイフと定位放射線照射用直線加速器の物理的特性の比較37,42)はすでになされてきたが,実際の現場では無作為比較試験が可能な状況は生まれていない.しかし,こうしたいわゆるエビデンス(第三相試験)なしの放射線治療の発展が技術の進歩として無意味かといえば,それは大いなる誤謬である.これらの高精度治療は,創始者達のほそぼそとした研究から発した後,それぞれがその流れを太くしながら,着実に進歩しており,それぞれの装置を改良しながら,それぞれの専門家を育て,全体として医療を大きく発展させている.
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