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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻6号

2002年06月発行

文献概要

連載 医療保険制度の問題と改革への提言・1【新連載】

脳神経外科保険診療の問題点

著者: 堂本洋一1

所属機関: 1慶應義塾大学伊勢慶應病院脳神経外科

ページ範囲:P.653 - P.666

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Ⅰ.はじめに
 わが国の医療は,国民皆保険制度の存在なくしては成り立たないと表現しても過言ではない.健康保険は,国民皆から集められた資金で運用されているシステムで,もともとは互助組織から出発したものである.国民は普遍的で平等な医療を受け,医師はその裁量権で,個々の患者にふさわしい医療を判断し選択することができた.しかし,国の経済の停滞と超高齢社会化の進行により,社会の高齢化,医療の高度化,材料費の高額化を原因とした,医療費の高騰が社会問題となり,抜本的な医療改革が求められている.医学が進歩する一方で,保険医療と臨床医療との間にギャップが生じ,脳神経外科保険診療の問題として,その医療費問題は日常の診療に当たって避けては通れなくなってきた.
 国民皆保険制度下には,保険診療に関するルールがあり,脳神経外科においても,保険制度の存在は無視できず,意識変革が求められている.しかし,多くの脳神経外科医は,臨床の場で必要な保険のルールには無関心で,保険診療について知る機会がほとんどない.保険医療はその診療報酬体系により,経済と関連し,ひいては現在の医療の在り方とも関係する重要な問題と思われる.今回,保険診療の基本的ルール(Table 1)や脳神経外科の保険診療の現状,保険診療と臨床診療のギャップにつき概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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