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総説
脳機能の局在化とFunctional MRIの決定力
著者: 加藤俊徳1
所属機関: 1財団法人濱野生命科学研究財団小川脳機能研究所
ページ範囲:P.685 - P.700
文献購入ページに移動1990年代初期に,赤血球のヘモグロビン(Hb)を利用したヒトの非侵襲的局所脳機能計測法が,ツインズのように出現した.1つは,1992年2月11日に国立精神神経センターのKatoらによって発案投稿されたfunctional NIRS(fNIR)である17).ベッドサイド近赤外線トポグラフィー法と総称される光学的手法のfNIRは,ベッドサイドで直接的に赤血球中の酸化型Hb(HbO2)と還元型(HbR)を区別して用いることで,脳血流代謝反応の選択的局在化に成功した報告であった.ベッドサイドで脳波による電気活動の経時的計測に依存していた方法論からのパラダイムシフトが,突然起きたのである.fNIRは細い動静脈,毛細血管からの信号を測定環境のシールドをすることなく検出できる.最近,fNIRは太い静脈よりも,毛細血管からの信号検出に優れていることがYamamotoと発明者のKatoの研究によって,理論的に明らかにされた47).
もう1つは,1992年3月26日にマサッチューセッツ総合病院のKwongらによって投稿されたT2*強調画像のfunctional MRI(fMRI)である27).間接的に赤血球中のHbRを介して,局所の磁場強度の変化を観察していると,推測されてきたfMRIである37).
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