文献詳細
文献概要
解剖を中心とした脳神経手術手技
脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療における解剖学的留意点
著者: 辛正廣1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院脳神経外科
ページ範囲:P.703 - P.714
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
ガンマナイフに代表される定位放射線外科治療は,脳動静脈奇形(AVM)に対する治療法の1つとして,近年,多くの施設に普及しており,1990年以降,現在までに国内で6,000人以上の患者が治療を受けている.定位放射線外科とは低線量の放射線の細かいビームを多方向から虫眼鏡の焦点のように病変部に集中させ,1回で大量の放射線を照射する方法のことである.限局した範囲に線量を集中させることが可能であるが,こういった急峻な線量勾配は照射体積に比例して失われるため,大きなAVMに対し必要な線量を照射しようとすれば周囲脳の被曝が問題となる.このため,ガンマナイフにて安全に治療可能なAVMはナイダスが比較的小さいものに限られ,具体的には直径の平均が3cm以内,あるいは体積にして10〜15cm3以下とされている1,2,9,11).
ガンマナイフに代表される定位放射線外科治療は,脳動静脈奇形(AVM)に対する治療法の1つとして,近年,多くの施設に普及しており,1990年以降,現在までに国内で6,000人以上の患者が治療を受けている.定位放射線外科とは低線量の放射線の細かいビームを多方向から虫眼鏡の焦点のように病変部に集中させ,1回で大量の放射線を照射する方法のことである.限局した範囲に線量を集中させることが可能であるが,こういった急峻な線量勾配は照射体積に比例して失われるため,大きなAVMに対し必要な線量を照射しようとすれば周囲脳の被曝が問題となる.このため,ガンマナイフにて安全に治療可能なAVMはナイダスが比較的小さいものに限られ,具体的には直径の平均が3cm以内,あるいは体積にして10〜15cm3以下とされている1,2,9,11).
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