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症例
毛様体神経から発生した眼窩内神経鞘腫の1例
著者: 岩川雅哉1 木内博之1 菅原卓1 笹島寿郎1 溝井和夫1
所属機関: 1秋田大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.747 - P.751
文献購入ページに移動Cantoreらの文献レビュー(1986年)によると,眼窩内神経鞘腫は64例が報告されており5),それ以降の症例と合わせて,われわれが渉猟し得た限りにおいては114例が報告されている6).しかしながら,それらの多くは発生部位が明確に特定されず,orbital neurinomaとして報告されている1-3,8,17,23).その理由としては,眼窩内神経鞘腫は占拠性病変として眼球突出を呈すものの,術前に明らかな神経脱落症状を伴わない場合が多く,また眼窩内の神経組織は脂肪組織に埋没しているため,発生母地である神経の特定が困難であることに起因すると考えられる11,12,14,18,20).
今回われわれは,術中に腫瘍発生部位(神経)を同定することが可能であり,それにより腫瘍被膜をわずかに発生部位へ残すことにより,術後に何ら神経脱落症状を呈することなく摘出できた毛様体神経鞘腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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