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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻8号

2002年08月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

絞扼性末梢神経障害の手術治療

著者: 橘滋国1

所属機関: 1北里大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.809 - P.821

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Ⅰ.はじめに
 近年わが国の脳神経外科でも脊椎脊髄疾患に精通した医師の数は多く,学会活動も活発である.しかし,残念ながら末梢神経疾患に明るい脳神経外科医師の数は僅かであると言わざるを得ない.これは,従来脳神経外科患者の患者源が他科に依存し,中枢神経疾患が疑われた場合にのみ脳神経外科に紹介されるというルートによるものであると考えられる.
 一方,患者のサイドにたつと,四肢のシビレ,痛み,麻痺の原因がどんな疾患によるものであるかを判断することは不可能である.末梢神経疾患による四肢の痛み・シビレ・麻痺は日常生活を大きく阻害するにもかかわらず,正確な診断を下せる医師は少なく,こうした疾患を抱えた患者は最後に末梢神経の診断治療ができる医師にたどり着くという不幸を抱えている.患者の苦痛は疾患の重症度や重大さに依存していない.それが,脳病変によるものであろうが脊髄病変によるものであろうが,あるいは末梢神経病変によるものであるかは患者の苦痛に比例しない.少なくとも神経学的診察の可能な医師は,末梢神経疾患をも含めた総合的な神経診察を行い鑑別する能力が要求される.特に絞扼性末梢神経疾患は疾患頻度も高く,絶対に見逃してはならない疾患である.その治療においては,脳神経外科医師の手術技量をもってすれば,手術のクオリティは保証できる.本稿が最前線に立つ脳神経外科医師の診断治療技術の一助となり,患者救済に役立てば幸いである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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