icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻8号

2002年08月発行

文献概要

研究

脳ドック受診状況と未破裂脳動脈瘤の有病率—栃木県における統計学的解析

著者: 松本英司13 篠田宗次1 増澤紀男1 中村好一2

所属機関: 1自治医科大学脳神経外科学教室 2自治医科大学保健科学講座公衆衛生学部門 3自治医科大学脳神経科

ページ範囲:P.829 - P.836

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに
 脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血を予防するためには,血管内塞栓術を含めた外科的療法によって破裂する前に脳動脈瘤を治療する以外に方法はない.近年わが国では脳ドックが普及し,それに伴い未破裂脳動脈瘤が発見される頻度が増加している.しかし,これまで一定の地域における脳ドックの性・年齢別受診率を調査し,未破裂脳動脈瘤の有病率を示した報告はない.
 発見された未破裂脳動脈瘤を治療するに当たり,受診者に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の病態を示す際,くも膜下出血の罹患率,死亡率,致命率は性・年齢によって異なることに留意する必要がある.それらを示す手段としては,剖検などによる脳動脈瘤の有病率8,12,23,31),未破裂脳動脈瘤の破裂の確率32,1,10,11,33),コホート研究などの疫学的研究2,7,9,13,14,27),多施設の共同研究による臨床データが有用である13,16).しかし,結果にばらつきがあること,わが国においては大規模な臨床研究が行われていないこと,コホート研究はイベント発生(脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の発生)が少ないために,性・年齢による違いを調査したり,他の死因との比較が十分行えないことが欠点であるといえる.それに対して,厚生省(現厚生労働省)が行っている患者調査20)や人口動態統計21)は,全国統計であるためわが国のくも膜下出血の傾向を知るのに有用である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら