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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科30巻8号

2002年08月発行

文献概要

連載 脳外科医に必要な神経病理の基礎・2

頭部外傷

著者: 橋詰良夫1 吉田眞理1

所属機関: 1愛知医科大学加齢医科学研究所神経病理部門

ページ範囲:P.888 - P.893

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Ⅰ.はじめに
 近年の交通事故による脳脊髄外傷の増加や,高齢化社会の到来とともに老人における頭部外傷の増加,さらに幼児の被虐待児症候群(battered child syndrome)による脳損傷など頭部外傷は深刻な社会問題となっている7).頭部外傷はその原因が様々であり,頭蓋・脳・髄膜の関係は解剖学的に他の臓器に比べて複雑であり,外力の種類.方向,部位とその強さにより頭部外傷の病態は極めて多彩である.脳損傷の正確な把握は患者の治療方法の選択や予後に重要な影響を与えるものである.
 外傷性脳損傷は局所性脳損傷とびまん性脳損傷に大別される.局所性脳損傷とは急性硬膜外血腫,急性・慢性硬膜下血腫および脳挫傷や脳内出血に代表されるものであり脳損傷が比較的限局するものである.びまん性脳損傷は脳実質内の広範な損傷がみられるもので,びまん性軸索損傷が代表的なものである.また頭部外傷は頭皮の開放性損傷と頭蓋骨骨折さらに硬膜が損傷し,脳と外界が交通した開放性頭部外傷と,硬膜の損傷がない閉鎖性頭部外傷に分けられる.一方,外傷性脳損傷は外力が直接作用することによって生じる頭蓋内出血・挫傷・びまん性軸索損傷などの原発性損傷と,外傷後経時的に発現・悪化する脳浮腫・頭蓋内圧亢進や全身状態悪化に伴って生じる虚血性・低酸素性脳障害などの続発性脳損傷に分けられる4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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