文献詳細
文献概要
扉
「患者中心の医療」のために
著者: 藤井清孝1
所属機関: 1北里大学脳神経外科
ページ範囲:P.1057 - P.1058
文献購入ページに移動 ほんの10年前までは医療の品質管理や品質保証について,注意を払う医療人はそれほど多くはなかったように思う.平成11年1月11日に起こったあの「患者取り違え事件」を大きな契機として,最近の医療は安全性,信頼性の確立,効率性の追求をはじめ,医療のあらゆる領域に例外なく幾多の外因・内因が働き,有無を言わせない変革の波が押し寄せている.これまで脳神経外科医としての専門知識や技術を発揮することで社会的にプロとして通用してきたが,最近ではそれのみでは単なる「匠」の世界にとどまってしまうようになった.社会の動静を見据えなければもっと大きな問題を見逃してしまうような事態が数多く出現するようになってきた.
筆者の勤務する大学病院は昭和46年に開設以来,「患者中心の医療」を基本理念として掲げ,安全で信頼される患者本位の医療の提供を目標としてきた.本年4月に開催された21世紀最初の日本医学会総会での特別シンポジウム「日本の医療の将来」でも,今後「患者中心の医療」の展開が主要なテーマとして取り上げられた.「患者中心の医療」の定義は時代とともに変遷があり,個人個人の考えもかなり千差万別と思われるが,少なくとも昔の「赤ひげ」時代のパターナリズムのように“すべて私に任せなさい”式では問題は解決しなくなってきた.
筆者の勤務する大学病院は昭和46年に開設以来,「患者中心の医療」を基本理念として掲げ,安全で信頼される患者本位の医療の提供を目標としてきた.本年4月に開催された21世紀最初の日本医学会総会での特別シンポジウム「日本の医療の将来」でも,今後「患者中心の医療」の展開が主要なテーマとして取り上げられた.「患者中心の医療」の定義は時代とともに変遷があり,個人個人の考えもかなり千差万別と思われるが,少なくとも昔の「赤ひげ」時代のパターナリズムのように“すべて私に任せなさい”式では問題は解決しなくなってきた.
掲載誌情報