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研究
イオンビーム照射によるePTFE人工硬膜の改良
著者: 高橋範吉1 氏家弘2 鈴木嘉昭1 岩木正哉1 堀智勝2
所属機関: 1理化学研究所先端技術開発支援センタービームテクノロジーチーム 2東京女子医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1081 - P.1088
文献購入ページに移動脳外科手術の際,代用硬膜として凍結乾燥ヒト硬膜が盛んに用いられていたが,クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の感染源となる危険性があった.1987年,脳外科手術時に使用した凍結乾燥ヒト硬膜によるCJD発症例が初めて報告され19,27),日本でも凍結乾燥ヒト硬膜によるCJD発症例が相次いだ.日本では1997年に使用が禁止され,この時点の調査では国内の凍結乾燥ヒト硬膜によるCJD感染例は43例に達した7).現在,代用硬膜としてexpanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)が広く使用されている29).ePTFEはpolytetra—fluoroethylene(PTFE)を延伸加工したもので,その分子構造はフッ素原子が炭素原子鎖を均一に覆って保護する形になっているため,ポリエチレン,ポリプロピレン,ホリスチレン等と違い,生体内で化学的に非常に安定であり,また組織との反応性が極めて低い.そのため,人工血管9,20),人工心膜1),人工腹膜13),歯周組織再生誘導法における遮蔽膜5)等,生体材料として広く使用されている.
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