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How I Do It・6
症例:失調を来した巨大錐体・斜台部髄膜腫の1例
著者: 大畑建治1 齋藤清2 森田明夫4 桐野高明4
所属機関: 1大阪市立大学脳神経外科 2名古屋大学脳神経外科 3 4東京大学脳神経外科
ページ範囲:P.1125 - P.1137
文献購入ページに移動症例は右利きの54歳女性である.構語障害,左下肢失調による歩行困難を主,訴に来院した,1998年に構語障害が出現し近医に受診,MRIを施行したところ左頭蓋底髄膜腫を疑われ経過を観察していた.2002年夏頃より構語障害悪化,ふらつきによる歩行障害が出現,坂道や歩道などでよく転ぶことが多くなった.MRI上,腫瘤は増大傾向が認められたため手術を勧められ,当科を紹介され入院となった.既往歴として高血圧,高脂血症があり6〜7年前に指摘され,内科的治療を受けていた.家族歴は特記すべきことはない.
現症として意識は清明,高次機能はMMSE等正常であった.脳神経の所見として視野・視力,嗅覚に問題なく,動眼,滑車,外転神経は正常だが側方視にて左方向に強いBruns nystagmusを認めた.三叉神経は正常で角膜反射も正常であった.顔面神経は正常,明らかな聴力低下はなく,純音聴覚は左右とも20dB程度(高音域は難聴),SDSは右は異常なく,左はやや低下(75%)していた.ABRは右正常,左は無反応であった.カロリックテストではCPは認められなかった.下位脳神経はカーテン兆候陰性,咽頭反射両側低下していた.舌の運動に異常はなかった.握力は右16kg,左6kgとやや低値を示したが明らかな四肢の運動麻痺・感覚異常は認めなかった.腱反射は両上下肢で亢進していたがBabinski反射は陰性であった.小脳機能にて指鼻試験,ひざかかと試験は左で拙劣であった.
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