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症例
ラトケ嚢胞に伴う下垂体柄部肉芽腫性病変の1手術例
著者: 小守林靖一1 荒井啓史1 久保慶高1 別府高明1 小笠原邦昭1 菅井有2 中村眞一2 小川彰1
所属機関: 1岩手医科大学脳神経外科学講座 2岩手医科大学脳神経外科学臨床病理
ページ範囲:P.1193 - P.1196
文献購入ページに移動ラトケ嚢胞(Rathke's cleft cysts, RCCs)は,胎生期のラトケ嚢(Rathke's pouch)の遺残より発生すると考えられている10,12).組織学的には,しばしば線毛および杯細胞を有する立方または円柱上皮で覆われた非腫瘍性の鞍内嚢胞であり,嚢胞内容液は一般に漿液ないし粘液様である.剖検例では無症候性のRCCsが11〜22%の頻度で認められる10,12)が,近年のMRIをはじめとした画像診断技術の進歩に伴い,無症候性嚢胞が発見される機会も増加している.嚢胞の大きさは最大のものでも7mmを超えるもの,症状を誘発するものは稀とされている12).
今回われわれは,尿崩症で発症し,下垂体柄部に限局するRCCsに伴う肉芽腫性病変を組織学的に確認したので報告する.
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