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総説
「異所性」下垂体腺腫の起源
著者: 堀映1 松村明2
所属機関: 1ハノーバー医科大学神経病理学 2筑波大学臨床医学系脳神経外科
ページ範囲:P.1269 - P.1281
文献購入ページに移動異所性下垂体腺腫に関して,脳神経外科領域では,頭蓋内外にみられるいずれのものをもひとまとめにしている一方で「異所性」の定義を細かく論議するむきもあるが,後の討論で明らかにするごとく,解剖学的には定義に関する細かい理屈は意味がないと思われ,ここでは仮に,下垂体のpars distalis以外に発生するものをすべて異所性として扱う.臨床診断学に重点をおいてTamakiら82)は,腫瘍がトルコ鞍外に局在すること,トルコ鞍内腺下垂体(pars distalis)が正常であることの証左に加えて術後の正常な内分泌機能の証明を異所性下垂体腺腫診断の条件にしているのは合理的と思われる.ただこの場合には,一般にはほとんど知られていない,下垂体後葉内に発生するものなど,トルコ鞍内のものが除外されてしまう.
異所性下垂体腫瘍の発生母地を考える前提は,解剖学的根拠からこれを頭蓋外のものと頭蓋内のものとを明確に区別することであり,本論文ではいわゆる異所性下垂体腺腫を解剖学的局在から仮に次のように分けて項目別に述べる.
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