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総説
前頭蓋底髄膜腫に対する頭蓋底手術
著者: 原岡襄1 秋元治朗1
所属機関: 1東京医科大学脳神経外科学
ページ範囲:P.127 - P.139
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
髄膜腫の治療においては常に全摘出が理想である.もちろんその発生部位や大きさ,周囲脳への影響,さらには症例の全身状態などを鑑みて,あえて無理な全摘出を慎む場合もあるが,本病態が腫瘍という新生物である以上,外科医は全摘出にこだわるべきと考える.しかし,髄膜腫における全摘出とは当然その付着部位である髄膜(正確にはくも膜表層細胞と硬膜)の摘出を含むわけで,同部の処理の難易度が腫瘍全摘出の可否を左右する重要なポイントである.穹隆部や大脳鎌発生例では,その付着部位の摘出は比較的容易であるが,傍矢状洞,海綿静脈洞などの静脈洞壁がその付着部となっている症例においては当然ながら限界がある.また,多くの頭蓋底発生例においても,旧来の経頭蓋的手術アプローチではその付着部位の摘出には多くの困難を伴った.全摘出への挑戦の結果が腫瘍残存のみならず,周囲脳,脳神経,血管群への過度の侵襲となり,術後の画像や臨床像に如実に現れ,執刀医はその無力感に苛まれた.
髄膜腫の治療においては常に全摘出が理想である.もちろんその発生部位や大きさ,周囲脳への影響,さらには症例の全身状態などを鑑みて,あえて無理な全摘出を慎む場合もあるが,本病態が腫瘍という新生物である以上,外科医は全摘出にこだわるべきと考える.しかし,髄膜腫における全摘出とは当然その付着部位である髄膜(正確にはくも膜表層細胞と硬膜)の摘出を含むわけで,同部の処理の難易度が腫瘍全摘出の可否を左右する重要なポイントである.穹隆部や大脳鎌発生例では,その付着部位の摘出は比較的容易であるが,傍矢状洞,海綿静脈洞などの静脈洞壁がその付着部となっている症例においては当然ながら限界がある.また,多くの頭蓋底発生例においても,旧来の経頭蓋的手術アプローチではその付着部位の摘出には多くの困難を伴った.全摘出への挑戦の結果が腫瘍残存のみならず,周囲脳,脳神経,血管群への過度の侵襲となり,術後の画像や臨床像に如実に現れ,執刀医はその無力感に苛まれた.
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