文献詳細
文献概要
研究
慢性硬膜下血腫病期分類と血腫被膜の造影性の相関
著者: 中口博1 吉益倫夫1 谷島健生2
所属機関: 1寺岡記念病院脳神経外科 2東京厚生年金病院脳神経外科
ページ範囲:P.157 - P.164
文献購入ページに移動慢性硬膜下血種は脳萎縮を伴う高齢者に多くみられ,一般的な経過として,1)軽微もしくは中等度の頭部外傷を契機として主として架橋静脈周囲のくも膜の断裂が生じ,2)硬膜下腔に脳脊髄腋が漏出し,3)その周囲に反応性に被膜が生じ,4)被膜内に主に中硬膜動脈から栄養されたmacrocapil—lary, sinusoidal channel layerが発達し,5)同部からの血液の漏出により血腫が増大していく,といった自然歴が考えられている2,7).われわれは126例の慢性硬膜下血腫のCT像の検討により,慢性硬膜下血腫はCT上硬膜下水腫(一部は,急性硬膜下血腫)で始まり,均質期,層形成期,鏡面形成期を経て隔壁形成期となり退縮していき,血腫の再発は鏡面形成期,層形成期で多く隔壁形成期ではほとんどみられないとの結論に達した4).さらに再発防止には血腫腔内ドレーンの先端を前頭部に留置し硬膜下腔内空気を十分に除去することが重要であることを報告してきた3).
一方,血腫病期の進行と共に慢性硬膜下血腫の被膜は肥厚し,被膜内の栄養血管も発達すると考えられる.慢性硬膜下血腫増大に対する外膜の関与は報告されているが1,6),内膜の関与に関しては未だ十分に検討されていないのが現状である.
掲載誌情報