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研究
Gliomaにおける1H-MRSによる放射線治療効果の検討—コリン化合物の定量的評価の有用性
著者: 磯辺智範1 松村明1 阿武泉2 長友康1 吉澤卓3 板井悠二2 能勢忠男1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系脳神経外科 2筑波大学臨床医学系放射線科 3横浜新都市脳神経外科病院
ページ範囲:P.167 - P.172
文献購入ページに移動放射線治療効果の判定は脳腫瘍の臨床において重要な問題であり,その評価はMRIやCTなどの画像診断で行われているのが現状である.これらの画像診断では,放射線照射による腫瘍の縮小などの形態学的変化や異常信号によりその効果を判定している.しかし,これらの画像変化を放射線治療後の早期に捉えることは困難である.
Proton MR spectroscopy(1H-MRS)は,非侵襲的に組織中の代謝情報を得る手法であり,アルツハイマー病16)やAIDS18)においては,1H-MRSの変化が画像の変化に先行して起こるといわれている.この1H-MRSの手法を用いて,放射線治療前後の評価に関する報告6,11,14)も散見されるが,それらの報告は,N-acetylaspartate(NAA)/creatineand phosphocreatine(t-Cr),NAA/choline-contain—ing compounds(Cho),Cho/t-Crなど各脳内代謝物の信号強度比を用いた検討であり,代謝状態の正確な情報や代謝物個々の変化を判断し難い.われわれは,これまでに1H-MRSを用いて各種の脳内占拠性病変における診断に関する検討を行っており13,17),脳内代謝物の定量評価も確立した13).
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