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症例
拡張蛇行した石灰化を伴う椎骨動脈が原因の片側顔面痙攣の1手術例-:特に減圧法について
著者: 宮園正之1 井上琢哉1 松島俊夫1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院脳神経外科
ページ範囲:P.437 - P.441
文献購入ページに移動拡張蛇行した椎骨動脈の直接圧迫が原因の顔面痙攣は,通常の減圧術では難治性であり,手術には様々な工夫が必要であるとの報告が多い1,2,5-11).その中で特に,幅の広い硬膜や血管テープを用いて椎骨動脈を硬膜に吊り上げる方法が,良好な結果を出している.今回われわれが提示する症例は,椎骨動脈が拡張蛇行しているだけでなく,血管壁に石灰化を伴っており,血管壁に負荷をかける吊り上げは困難と考えられた.そのため,テフロンフェルトを層状に脳幹部と椎骨動脈の間に敷き込むことで,顔面神経のroot exit zone(REZ)の減圧を行った.顔面神経末梢部には蛇行した椎骨動脈が強く圧迫したままの状態であったが,症状は術後完全に消失した.われわれの用いた減圧法は簡便でかつ安全に椎骨動脈を移動させることが可能で,椎骨動脈を移動させることが困難な場合の手法として一考に値すると思われるので報告する.
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