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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科31巻5号

2003年05月発行

文献概要

Topics

神経膠芽腫に対する新たな分子標的療法—グルタミン酸受容体阻害剤

著者: 石内勝吾1

所属機関: 1群馬大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.495 - P.500

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Ⅰ.はじめに
 グルタミン酸は主要な神経伝達物質であるばかりでなく,生体内において幅広い代謝機能を保有している.実際,グルタミン酸を介するするシグナル伝達は中枢神経系に限定していると考えられていたが,最近の研究によって,神経系以外の細胞一骨芽細胞,破骨細胞,血小板,表皮細胞,膵島細胞,味蕾細胞や肺,肝臓,心臓,腎臓と副腎においても,グルタミン酸受容体が発現していることが報告されている5,18).中枢神経系においては,グルタミン酸は胎生期における神経系細胞の増殖・遊走と分化に重要な役割を果たすことが,再認識されつつある.高い増殖性と遊走性はまた,癌細胞の細胞生物学的特性でもあることから,この受容体と癌細胞との関連が最近話題となっている11)
 本稿では未だ本質的な治療法の確立が遅れている神経膠芽腫に対するグルタミン酸受容体の病態生理学的意義について概説し,後半では新たな分子標的療法について,グルタミン酸受容体の中の,特に胎児脳やグリア前駆細胞の一部に認められるカルシウム透過型グルタミン酸受容体を標的とした治療法の可能性について言及したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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