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症例
奇前大脳動脈末梢部破裂動脈瘤の術後,5年の経過で発育した破裂および未破裂両側中大脳動脈M2分岐部動脈瘤の1例
著者: 堀江政宏1 美津島穣2 紙谷秀規2 渡辺高志2
所属機関: 1松江生協病院脳神経外科 2鳥取大学脳神経外科
ページ範囲:P.537 - P.541
文献購入ページに移動破裂脳動脈瘤の治療後に生じるくも膜下出血の再発はこれまでに多くの報告がなされている.再発くも膜下出血の原因として,以前手術を施行した部位の動脈瘤が再増大し破裂する場合と2,3,6,12),以前の手術時には認められなかった部位に新生動脈瘤を生じ破裂する場合がある5,7-11,15).今回われわれは,多発脳動脈瘤を有する患者で,奇前大脳動脈末梢部破裂動脈瘤のクリッピング手術より5年後に,以前より存在した右中大脳動脈M2分岐部の小動脈瘤が増大し破裂して,側頭葉の脳内出血を伴ったくも膜下出血再発症例を経験した.興味深いことにこの症例は,さらにmirrorsiteの左中大脳動脈M2分岐部にも動脈瘤が新生し,また以前より,左レンズ核線条体動脈起始部にも小動脈瘤が存在しており,4つの動脈瘤が全て一般的な好発部位ではない部位に形成されていた.この稀な症例を文献的考察を加えて報告する.
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