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総説
悪性脳腫瘍の化学療法
著者: 竹島秀雄1 倉津純一1
所属機関: 1鹿児島大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.725 - P.734
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
癌の早期診断法の確立や手術・放射線・化学寮法などを組み合わせた集学的治療の最近の進歩により,癌治療全体としては着実な成績の向上がみられる.その中にあって,膠芽腫を代表とする悪性脳腫瘍は,依然致命率の高い腫瘍として取り残された感がある.その理由には腫瘍の強い浸潤性格や脳に言語野や運動野などの機能的重要領域が存在するため正常部分をつけてen blocに摘出する癌手術の一般的方針が実施困難であること,放射線・化学療法に対する感受性が低いこと,血行性転移は稀であるが髄液腔を介した播種転移があること等の特殊な要因が関与している.われわれ脳外科医の扱う悪性脳腫瘍には多数の組織型が存在し,それぞれにおいて化学療法に対する感受性には大きな差があるが,稀な腫瘍においてはエビデンスに基づいた治療法が確立されていないものも多い.一方最近の分子生物学的研究の発達に伴い,腫瘍細胞の増殖・浸潤に重要な分子群が次々と明らかにされ,それぞれを標的とする分子標的療法が開発され注目されている.今後の臨床への応用により,根本的な治療戦略の見直しおよび治療効果の向上が期待されている.本稿では,代表的な悪性脳腫瘍である1)悪性グリオーマ,2)悪性リンパ腫,3)(悪性)胚細胞腫,4)髄芽腫の4つの組織型をとりあげ治療法の変遷と,現在行われている標準的治療法および問題点,さらに治験段階の新治療薬についてレビューする.
癌の早期診断法の確立や手術・放射線・化学寮法などを組み合わせた集学的治療の最近の進歩により,癌治療全体としては着実な成績の向上がみられる.その中にあって,膠芽腫を代表とする悪性脳腫瘍は,依然致命率の高い腫瘍として取り残された感がある.その理由には腫瘍の強い浸潤性格や脳に言語野や運動野などの機能的重要領域が存在するため正常部分をつけてen blocに摘出する癌手術の一般的方針が実施困難であること,放射線・化学療法に対する感受性が低いこと,血行性転移は稀であるが髄液腔を介した播種転移があること等の特殊な要因が関与している.われわれ脳外科医の扱う悪性脳腫瘍には多数の組織型が存在し,それぞれにおいて化学療法に対する感受性には大きな差があるが,稀な腫瘍においてはエビデンスに基づいた治療法が確立されていないものも多い.一方最近の分子生物学的研究の発達に伴い,腫瘍細胞の増殖・浸潤に重要な分子群が次々と明らかにされ,それぞれを標的とする分子標的療法が開発され注目されている.今後の臨床への応用により,根本的な治療戦略の見直しおよび治療効果の向上が期待されている.本稿では,代表的な悪性脳腫瘍である1)悪性グリオーマ,2)悪性リンパ腫,3)(悪性)胚細胞腫,4)髄芽腫の4つの組織型をとりあげ治療法の変遷と,現在行われている標準的治療法および問題点,さらに治験段階の新治療薬についてレビューする.
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